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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは

大腸の粘膜が傷つき、ただれたり (びらん)、はがれたり(潰瘍)することで、腹痛や頻回の下痢、血便などの症状 が生じる大腸の病気です。原因は明確になっておらず、長期間の治療が必要な病気であるため、日本では「指定難病」の一つに定められており、医療費助成の対象になっています。適切な治療で症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を送ることができます。

潰瘍性大腸炎の病期・分類

潰瘍性大腸炎の病期

潰性大腸炎には寛解期と活動期があり、これらの病期を繰り返します。

寛解期 潰瘍性大腸炎の寛解期│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分活動期の症状が収まり、潰瘍やびらんが消えた時期
活動期 潰瘍性大腸炎の活動期│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分血便が見られ、内視鏡で潰瘍やびらんが確認される時期

他にも腸管以外に合併症を生じることがあります。

  • 関節炎(強直性脊椎炎、脊椎関節炎)
  • 口内炎
  • 皮膚病変(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)
  • 眼病変(ブドウ膜炎、結膜炎、虹彩炎)

など

潰瘍性大腸炎の3つの分類

潰瘍性大腸炎の3つの分類│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分病変は、直腸から口側へ連続して広がっていきます。炎症の範囲により以下の3つに分類されます。

潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識(2020年3月改訂、第4版) より引用

直腸炎型

病変が直腸だけに限局します。

左側大腸炎型

脾彎曲(ひわんきょくぶ=左の曲がり角)までにとどまります。

全大腸炎型

全体に病変が広がります。

潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎の主な症状として以下のものがあります。

主な症状

  • 血便または粘血便(便に血液や粘液が混じる)
  • しぶり腹(便意があるのに便が少ししか出ない)
  • 腹痛
  • 頻回の下痢
  • 体重減少
  • 発熱

など

腸管以外の合併症

  • 関節炎(強直性脊椎炎、脊椎関節炎)
  • 口内炎
  • 皮膚病変(結節性紅斑、壊疽性膿皮症)
  • 眼病変(ブドウ膜炎、結膜炎、虹彩炎)

など

潰瘍性大腸炎じゃなかった?よく似た疾患

潰瘍性大腸炎と似たような症状を生じる疾患はたくさんあります。まずは感染症による下痢と区別するために、便の培養検査を行います。ほかにも、薬剤、放射線治療、海外渡航歴、家族歴などの問診が手掛かりになることがあります。

  • 感染性腸炎(サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎、アメーバ性腸炎、細菌性赤痢、大腸結核、クラミジア腸炎 等)
  • クローン病
  • 腸管型ベーチェット病
  • 放射線腸炎
  • 薬剤性腸炎
  • 虚血性大腸炎

潰瘍性大腸炎の原因

本来は身体を守るために機能している免疫に異常をきたして病気が生じると考えられています。遺伝的因子や食生活などの腸内環境の変化なども関与すると考えられていますが、原因はまだ不明です。

潰瘍性大腸炎の検査・診断

潰瘍性大腸炎の診断│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分問診や診察、以下のような検査の結果を組み合わせて、病態を把握します。

血液検査

貧血や炎症反応などを把握します。

便培養検査

潰瘍性大腸炎の検査│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分感染性腸炎の原因になる病原菌が含まれていないかどうか確認します。

大腸内視鏡検査

病変の範囲や炎症の程度を評価します。

大腸カメラ検査について
詳しくはこちら

潰瘍性大腸炎の治療

 

潰瘍性大腸炎の治療│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分潰瘍性大腸炎の治療の目的は、活動期を出来るだけ早く寛解状態に持ち込み(寛解導入)、寛解期をいかに長く維持できるか(寛解維持)、この2つが重要です。 病変の範囲や症状の程度によって、内服薬、局所製剤(座薬・注腸)、注射が用いられます。

潰瘍性大腸炎の内科的治療には主に以下のものがあります。

潰瘍性大腸炎の難治性について│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分
  • 5-アミノサリチルサン(5-ASA)
  • ステロイド
  • 経口α4インテグリン製剤
  • 免疫調節薬
  • 血球成分除去療法
  • 免疫抑制剤
  • 生物学的製剤
  • JAK阻害剤
  • 手術

潰瘍性大腸炎の食事

活動期

潰瘍性大腸炎の活動期の食事│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分

活動期には腸に負担をかけない食事がお勧めです。食物繊維が多いもの、脂肪の多い食品や揚げ物は避けた方が良いでしょう。症状を悪化させる可能性がある食品は人によってそれぞれ異なります。 また、腸に受けたダメージを治すには十分なエネルギーを補給する事も必要です。医療スタッフにご相談ください。

寛解期

潰瘍性大腸炎の寛解期の食事│てんのうじ消化器・IBDクリニック│天王寺駅から徒歩4分

寛解期では活動期ほどの厳しい食事制限は必要ありません。しかしながら、疾患の活動性が無いにもかかわらず腹部の症状が現れる時は、<特定の食品>を避けた方がよい場合があります。
<症状に影響する食品>も、体調によって避けた方が良い場合があります。 どんな食品を食べると調子が悪くなるのかは、人によってそれぞれ異なります。普段から食事記録を付け、医師や栄養士にご相談ください。

<特定の食品>

・消化の悪い炭水化物を多く含む食品(ドライフルーツ、キャベツ、乳製品など)
・食物アレルギーがある患者さんの場合、アレルゲン(卵、牛肉、牛乳、小麦など)を避ける必要があります。

症状に影響する食品

・お腹の調子が良くないときや狭窄がある場合→不溶性食物繊維は避ける必要があります。
・症状が落ち着いている場合、水様性食物繊維を中心に適量を摂取しましょう。(例:リンゴ、バナナ、桃など)

潰瘍性大腸炎に関するよくある質問

潰瘍性大腸炎になりやすい人の特徴は何ですか?

病気・仕事、生活全般などで気にしやすい方や神経質な方が罹患しやすいのではないかとされています。

潰瘍性大腸炎になると早死にするのですか?

潰瘍性大腸炎の患者様の寿命はそうでない方と比較してもほぼ同じで、生命に及ぼす影響はほとんどないとされています。

潰瘍性大腸炎になるとおならがよく出ますか?

潰瘍性大腸炎では、炎症や潰瘍が大腸に生じるため、消化機能が影響を受けることがあります。
その結果として、ガスが発生しやすくなり、おならが増えることがあります。これは、消化不良や腸内細菌のバランスの乱れが原因とされています。