人から人にうつる
「感染性胃腸炎」
感染性胃腸炎は、細菌やウイルスなどが原因で引き起こされる腸炎で、細菌やウイルスが口から入り、胃腸に感染した状態です。
感染経路としては、汚染された食事や水、手指から口に触れることなどが挙げられます。
夏には細菌性、冬にはウイルス性の胃腸炎が多くなります。
感染性胃腸炎はどうやってうつる?感染経路
細菌やウイルスが、感染者が手で触れたものや感染者の嘔吐物や便を介して、口に入り感染が広がります。
また、嘔吐物の飛沫から感染することもあります。
感染している人でも発病せずにウイルスを排出することがあるため、知らない間に周りの人へ感染が広がることもあります。
胃腸炎がうつらない人の特徴
胃腸炎がうつらない人には、以下の特徴があるとされています。
予防のために、特徴を知り、できる対策をしておくとよいでしょう。
免疫と健康状態
免疫力が高く、健康状態が良好な人は、胃腸炎にもかかりにくいです。
健康な人は、胃酸や腸内にいる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が胃腸炎の原因となる病原体を殺菌してくれます。
また、免疫力が高ければ、体内に病原菌が侵入した際に、免疫システムが働いて身体を守ることができます。
逆に、免疫力が低い高齢者や乳幼児は胃腸炎にかかりやすいとされています。
衛生管理と生活習慣
胃腸炎にかかりにくい人は、手洗いを徹底し、健康的な生活習慣を心がけています。
胃腸炎は多くの場合、細菌やウイルスへの感染が原因で発症します。
感染経路は経口感染と接触感染で、最も基本的な予防方法は水と石けんによる手洗いです。
手洗いを習慣にすることで、感染の機会を減らすことができます。
また、免疫力を下げる原因となる食生活の乱れや睡眠不足、ストレスを避け、栄養バランスの取れた食事や適度な運動、十分な休養を日頃から心がけることが大切です。
血液型(B型)
全てのB型の方が感染しないわけではありませんが、B型の方はノロウイルスに感染しづらく、症状も軽く済むことがあるとされています。
赤血球の表面にある血液型の物質は抗原と呼ばれ、この抗原がノロウイルスの受容体として働いていることや、ウイルス感染が起こった時に違いが出ることがわかっています。
ノロウイルスが体内に入ると、A型やO型の血液型抗原にはウイルスが付着して反応しますが、B型は反応しないため感染しづらいのです。
ただし、ウイルス株によってはB型の人も感染することやまだ解明できていないことも多いため、B型の方でも感染対策はしておきましょう。
感染性胃腸炎の症状
感染性胃腸炎の典型的な症状には、下痢や悪心・嘔吐、腹痛などがあります。
特に成人では下痢、小児では嘔吐が多いと言われています。
症状の強さは、感染時の体調や原因となる病原体などにより異なります。
下痢によって脱水症状になることもあるため、小児や高齢者が感染した場合には特に注意が必要です。
感染性胃腸炎の検査・診断
まずは問診を行い、症状や食事内容(1週間前まで確認)、周囲の感染流行状況(家族や職場、学校など)を確認します。
細菌性を疑う場合は便や腸液の培養、ウイルス性の場合は便や腸液で迅速診断キットによる抗原検査、原因の特定を行います。
ノロウイルス抗原検査は3歳未満と65歳以上の方のみ保険適応です。
食中毒や集団感染の原因追及のために行う電子顕微鏡法やPCR法などもありますが、一般の医療機関では行われません。
多くの場合検査は行わず、問診のみで対処療法を行います。
感染性胃腸炎は何日で治る?早く治すには?
ウイルス性胃腸炎の治療は脱水の予防が基本になります。
ウイルスに対する特効薬は現在のところなく、免疫力によって治るのをサポートします。
特に脱水は危険な状態になることが多いため、体液に近い水分を口からこまめに摂取することが重要です。
嘔吐した場合は、直後は水分や固形物を口にせず、口をゆすぐ程度にし、その後1〜2時間後から少量ずつ水分を摂取します。
摂取する水分以上に嘔吐・下痢が多い場合は、点滴が必要です。
感染性胃腸炎に関するQ&A
感染性胃腸炎になったら何日休むべきですか?
胃腸炎への感染の場合、法律で出勤停止日数が定められているわけではありませんが、少なくとも3日は仕事を休むべきです。
発症から3日経過しても症状が続く場合は、できる限りさらに休んでください。
ノロウイルスの場合は発症から1週間程度ウイルスが体内に保有されるため、感染の拡大を防止するために対策が必要です。
特に飲食業などで食品を扱う方は、検便で陰性が確認されるまで調理作業を控え、感染を広げないようにしましょう。
感染性胃腸炎が治ったサインはありますか?
胃腸の調子の目安としては、おならがあります。胃腸が回復していない場合、おならから強い悪臭がし、すっきり感がありません。
胃腸が回復してくると、おならを出すとすっきりし、臭いの強さもなくなります。
感染性胃腸炎はほおっておいても治りますか?
軽症であれば特別な治療を行わず、しっかりと水分摂取をし、胃腸を休ませるだけで自然に改善することもあります。
しかし、下痢や嘔吐、腹痛などの症状が長く続く場合には、医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。