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クローン病

クローン病は何人に一人?
どういう病気?

クローン病は何人に一人?どういう病気?クローン病は、炎症性腸疾患の1つで、腸に炎症を起こす疾患です。
この疾患では、口から肛門までの消化管全てに潰瘍(粘膜の下の層までえぐれた状態)やびらん(ただれ)ができる可能性があり、特に小腸や大腸で多く見られます。
炎症は粘膜にとどまらず、消化管の壁全体に広がることもあります。
2018年度での患者数は、特定医療費受給者証所持者数から42,548人とされており、これは人口10万人あたり30人前後に相当すると考えられます。
男女比では男性が女性の2倍です。
また、発症のピークは男性で20~24歳、女性で15~19歳であり、多くが10歳代から20歳代の方です。

クローン病と潰瘍性大腸炎の違い

2疾患の大きな違いは、潰瘍性大腸炎が主に大腸の粘膜にびらんや浅い炎症を起こすのに対し、クローン病は口から肛門までの消化管全域に深部まで炎症が生じることです。
また、クローン病の場合栄養障害を引き起こすことが多いため、栄養療法を行うなど、治療法も異なる部分があります。
そのため、正確な鑑別が重要になります。

潰瘍性大腸炎について
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クローン病の症状を
チェック!こんな症状は
ありませんか?

クローン病の症状をチェック!こんな症状はありませんか?主な症状には、腹痛や下痢、体重減少、発熱があります。
診断時には70%の患者様で腹痛と下痢が見られ、腸の潰瘍により腹痛が起こり、食べ物の消化や栄養の吸収がうまくできないため下痢が続きます。
体重減少や発熱もよく見られ、痔瘻やきれ痔といった肛門の症状も発生することがあります。
血便は30%の患者様で見られますが、大量の出血はまれです。

クローン病の原因

はっきりした原因は不明ですが、先進国に多く見られ、動物性脂肪やタンパク質の摂取が多いとリスクが上昇するとされています。
遺伝病ではありませんが、遺伝的な要因が関与していると考えられており、複数の遺伝子や環境因子の組み合わせで発症するとされています。
喫煙もリスクを上昇させる原因になります。

クローン病の検査・診断

検査や診断には以下のようなものがあります。

血液検査

炎症の有無や貧血の有無、栄養状態を確認し、病状が寛解したかや再燃・合併症の早期確認を行うために実施します。

便検査

便検査1~2日分の便を採取し、血液の混入がないかを調べます。

X線造影検査

造影剤を使用して消化管全体を確認し、病変の位置や広がりを把握します。

内視鏡検査

大腸から小腸の回腸末端部までの粘膜を内視鏡で直接観察し、狭窄や瘻孔、潰瘍、びらんの有無や位置を確認します。
また、クローン病は消化管のどこにでも発生の可能性があるため、口から行う胃・十二指腸内視鏡検査も行い、異常がないか確認します。

大腸カメラ検査について
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胃カメラ検査について
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クローン病の治療

クローン病の治療には、以下のような治療が行われます。

栄養療法

栄養状態の改善を行います。
一般的に、低脂肪・低残渣の食事を摂取することで腸管を刺激しないようにします。
また、栄養療法では、鼻からチューブを通して腸に栄養剤を注入する方法や、血管から栄養を注入する方法もあります。

薬物治療

状態に合わせて、主に5-アミノサリチル酸製剤やステロイド、免疫調節薬の投与を行います。

血球成分除去療法

血液中から免疫細胞を取り除き、炎症を抑える治療法です。
免疫細胞が病変部位に集まると炎症を生じる可能性があるため、血球成分の除去を行います。

外科治療

合併症などが発生した場合、手術を行います。
切除範囲はできるだけ小規模にとどめて、腸管への影響を最小限にします。

クローン病の方の
食事 ・食べてはいけない
ものはある?

クローン病の方の食事 ・食べてはいけないものはある?全ての患者様に推奨される食事はなく、一人ひとりに合う食品・合わない食品を知ることが重要です。
症状が落ち着いている寛解期には特に食事制限はありませんが、症状が悪化している活動期や狭窄があるときは注意が必要です。
また、香辛料やカフェインなどの腸を刺激する食品は少しずつ試して様子を見ましょう。
体調変化がわかった場合には過量の摂取を控え、自分に合う食事の量を調整しましょう。

クローン病に関する
よくある質問

クローン病が治る確率はどのくらいですか?

長期にわたって寛解(症状がない状態)を維持している患者様もいますが、現時点では原因が明らかにされておらず、完全に治すための治療法も開発されていません。
そのため、長期的に疾患とうまく付き合うことが重要です。

クローン病になると、疲れやすい・体がだるく感じますか?

クローン病では大腸だけでなく小腸にも炎症が多発し、口腔内から肛門までの消化管全体に炎症が起こる可能性があります。
炎症が広範囲に及ぶことで、だるさや食欲不振といった全身症状が出現することもあります。

クローン病で突然死することはありますか?

クローン病患者数は年々増加していますが、治療法の進歩により生命予後は良好です。
合併症による敗血症や病変部位のがん化で亡くなるケースもありますが、死亡率はクローン病ではない方と比べても大きく変わりません。
適切な服薬や検査によって長期寛解を保つケースが増えています。