刺身による
食中毒に要注意!
「アニサキス」とは
アニサキスは、体長2〜3センチ、幅0.5〜1ミリ程度で、白い糸のような見た目の寄生虫で、魚介類や海産哺乳類の体内に寄生しています。
一般に食中毒(アニサキス症)の原因として知られており、近年ではアニサキスアレルギーの症例も増えています。
人と接触するアニサキスは魚の内臓に寄生しているものがほとんどで、魚が死ぬと筋肉へ移動する習性があります。
アニサキス食中毒
アニサキスが寄生した生の魚介類を食べることでアニサキスが人間の胃や腸壁に刺入し、食中毒を引き起こします。
症状はアニサキスの分泌物と胃壁のアレルギー反応による激痛です。
胃壁に刺入することで生じる「急性胃アニサキス症」と腸壁に刺入することで生じる「急性腸アニサキス症」がありますが、多くは急性胃アニサキス症です。
アニサキスは人間には寄生できないため1週間ほどで死滅しますが、痛みが激しいため早めに医療機関を受診してください。
アニサキスが多い魚一覧
- イワシ
- サバ
- アジ
- ヒラメ
- カツオ
- ブリ
- タイ
- ニシン
- サケ
- イカ
などによく見られますが、上記以外の魚にも寄生しています。
アニサキス症の症状
胃アニサキス症
口から侵入したアニサキスが胃壁に刺さり、3~4時間後に上腹部の痛みや嘔気・嘔吐が出現します。
内視鏡による除去で症状は改善します。
腸アニサキス症
アニサキスが腸に達し、十数時間~数日後に下腹部の痛みや嘔気・嘔吐、発熱が出現します。
まれに腸閉塞や腸穿孔に至ることもあります。
消化器外アニサキス症
アニサキスが消化管を破って腹腔に寄生することがあり、症状は寄生した場所によりますが、激しい腹痛が生じることがあります。
アニサキスアレルギー
アニサキスに対するアレルギー反応で、蕁麻疹や呼吸不全、血圧低下、意識消失などの重篤な症状が出現することがあります。
アニサキスと
アナフィラキシー
日本でのアニサキスによるアナフィラキシーショックの件数は比較的多く、青魚アレルギーと思われていた方が実はアニサキスアレルギーだったということがあります。
原因不明のアナフィラキシーショックの経験がある方は一度検査を受けることをおすすめします。
アニサキスの検査方法
胃アニサキス症が疑われる場合は、緊急で胃内視鏡検査を行い、アニサキスの虫体を探して、見つかった場合は除去します。
腸アニサキス症の場合は腹部超音波検査や大腸内視鏡検査を実施します。
アニサキス症の治療
胃アニサキス症
胃カメラでアニサキスを確認後、内視鏡で除去します。
除去後は速やかに痛みが消失します。
腸アニサキス症
発生頻度は1%未満と低く、抗アレルギー剤や内服薬で症状を緩和させます。
消化管外アニサキス症
非常にまれで、激しい腹痛がある場合は早急に検査を受け、適切な治療が必要です。
アニサキスアレルギー
軽症の場合は抗ヒスタミン薬、重症の場合はステロイドを使用することもあります。
アニサキスに関する
よくある質問
アニサキスを見つけたらどうしたらいいですか?
アニサキスは肉眼で確認できます。
見つけたら取り除きましょう。
加熱は60℃で1分以上、冷凍は-20℃で24時間以上行うことでアニサキスを死滅させることができます。
アニサキスを食べてしまったらどうしたらいいですか?
食後に激しい腹痛や嘔気があり、魚介類を生または十分な加熱・冷凍処理をせずに食べたという場合にはアニサキス症を疑います。
胃カメラ検査並びにアニサキス症の治療が可能な医療機関を探し、早急に受診してください。
アニサキス症は何日で自然治癒しますか?
アニサキスは人間の体内では1週間ほどで死滅しますが、症状が強く、放置すると重症化することもあるため、内視鏡での除去をおすすめします。
アニサキスがいる魚を加熱、冷凍したら食べても良いですか?
加熱や冷凍でアニサキスが死滅すれば安全に食べることができるため、加熱であれば中心までしっかりと、冷凍の場合は-20℃以下で24時間以上行ってください。